多くの材料は原子が規則的に配列した結晶という形態が、無数に組み合わさり構成されています。
その結晶にX線と呼ばれる波長の短い電磁波を照射すると、以下のBragg式に従い回折現象が生じます。
λはX線の波長、dは任意方向の原子間距離(格子面間隔)、θは回折が生じる角度であり、原子間が伸縮するに伴い回折が生じる角度が遷移するとわかります。
この関係から弾性ひずみを計測し、弾性力学に展開することで残留応力が得られます。
※λ=2dsinθ
X線は実験室レベルで用いる線源から大型放射光施設SPring8のシンクロトロン放射光まで多種多様な電磁波特性があります。弊社はそれら全てを活用できる最先端技術を有しているため、包括的な視点から以下に利点と欠点をまとめます。
■ 利点
・素材は複相により構成されるが、各相の応力・組織を分離して評価がきる。
・数nmから数mmと広範囲において、空間分解能を任意選択することができる。
・表面の数nmから内部数mmまでの内部空間を、包括的に評価できる。
・微小試験片から実機構造物(重量20tonまで)まで幅広いサイズに対応でき、自由度が高い。
・時間分解能が高く、急速な加熱冷却ならびに衝撃負荷などの動的挙動を評価できる。
■ 欠点
・回折現象を利用しているため、結晶構造を持たない素材には対応できない。
・集合組織や粗大粒組織を含む素材は、データ数が少なく応力解析が安定しない。
【完全な集合組織や単結晶であれば、それに適した応力モデルが使えるため安定する。】
従来は高温実機供用、熱処理工程などの経時変化を動的に追跡することができませんでした。
そこで、実験室レベルのX線源とX線測定専用の特殊高温炉を組み合わせることで、弊社独自の高温リアルタイム測定装置を開発しました。
本装置では組織変化を追跡すると同時に、それに起因した残留応力変化も併せて得ることができ、種々の技術的問題を打破する画期的な手法となります。
弊社が評価経験のある素材/プロセスは以下の通りです。
素材 | プロセス |
---|---|
・超硬合金(工具、金型材など) ・Ni基合金・超合金(インコネル、ハステロイなど) ・Co基合金(ステライトなど) ・鉄基合金(インバー、インコロイなど) ・Ti合金(α、α+β、βなど) ・Al合金(1000~7000など) ・ステンレス鋼(α、α+γ、γ、α’、γ+α’など) ・鋼(SM、HT、CrMo、軸受、工具鋼など) ・コーティング(ジルコニア、TiN、TiC、SiCなど) ・金属ガラス ・骨(ハイドロキシアパタイト) |
・圧延(冷間、熱間) ・鍛造(ニアネットも含む) ・溶接(アーク、レーザ、電子ビーム、抵抗、摩擦、FSW) ・切削(ターニング、マシニング、ドリル) ・ピーニング(LP、WJP、UP、SP、バフ) ・熱処理(焼入れ、焼き戻し、焼き鈍し、応力除去) ・表面処理(浸炭、窒化、肉盛、溶射) ・放電加工 |
弊社は以下の装置を用いて、常温ならびに高温での残留応力測定を実施しています。
■X線残留応力測定装置:PSPC-MSF リガク
光学系 | XYZステージ | 搖動 |
---|---|---|
X線管球:Cr,Fe | X軸走査範囲:±100mm | 並進搖動:X方向、Y方向 |
検出器:一次元PSPC | ||
2θ測角範囲:120~170deg | Y軸走査範囲:±150mm | |
入射スリット:2x2mm2,1x1mm2,φ4mm,φ0.5mm,φ0.3mm | Z軸走査範囲:±40mm | 面外搖動:ω方向 |
並傾法用ψ角:0~48deg | 耐荷重:40kg | |
側傾法用ψ角:0~65deg |
■高温リアルタイム測定装置:弊社オリジナル 橋本鉄工
■電解研磨装置:弊社オリジナル 橋本鉄工
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